春さんのひとりごと
今年のテトもサイゴンで過ごす
今年のベトナムの『テト(旧正月)』は「2月5日」でした。『テト』という言葉は、漢字の『節』から来ています。 元々は竹の『節(ふし)』の意味ですが「正月」が一年の『節目』の意味でその言葉が使われているのでしょう。
毎年の『テト休み』は政府側の「労働省」から事前に通知されますが、2019年の 『テト休み』は昨年の4月半ばには早くも発表されていました。それによりますと<9連休>でした。2019年2月2日から2月10までの9日間です。私が今教えている学校も、その発表通りの<9連休>になりました。
それで、『テト』前から今年の『テト』をどのように過ごすのか、おおまかな予定を女房と話していました。飛行機や鉄道やバスなどを使っての旅行などは最初から考えていませんでした。こちらの新聞には、『テト』前に毎年載る記事として、切符の確保の大変さ。都会から田舎に帰るために、空港や鉄道の駅に大勢の人たちが殺到して、ごった返す光景の写真を見ているからです。
毎年その光景が繰り返されていますので、移動に体力、時間を費やし、疲れてしまうのが容易に想像出来ます。それで、今年も私たちは遠出の旅行などは 止めて、バイクで移動出来る範囲内にしました。女房と話したのは、『テト前』は家の大掃除。花市の見物。そして、『テト』当日から3日間は家族で女房の実家にみんなで集まって食事会のパターンです。独身の時と違い、結婚後は 女房の実家でお昼と夕方の食事には招いてくれますから有り難いです。
そして、『テト』後の3日間はお寺へのお参りと、恒例の「Flower Road見物」。 さらに、市内にある「Tao Dan(タオダン)公園の見物」。郊外にある「釣堀での魚釣り」。以上が、事前に決めていた今年の『テト休み』の過ごし方ですが、 大体そのとおりになりました。バイクで出かけたのは市内がほとんどで「釣堀」だけは郊外に行きましたが、他は全部近場で済みました。
● 9月23日公園の「花市」を見物 ●
毎年恒例になっている「9月23日公園」の「花市」には『テト』二日前の2月3日に家族で行きました。今年は1月24日から公園内で「花市」の準備がスタートしました。2月5日が『テト』ですが、2月4日の午後からは業者の 人たちが公園内を片付け始めるので、ゆっくりと見られるのは2月3日までです。業者の人たちも一年に一度の『テト』の時だけはゆっくりと家族で過ごしたいはずでしょうから、その気持ちも分かります。
この公園には毎年いろんな花や果実が展示され、販売されていますが、園内を 回りながら、(今年はどんな花を買おうかな ・・・?)という気持ちで歩きました。しかし、今年の展示物は例年とは違い、蘭の花であれ、菊の花であれ、バラの花であれ、果実のタンロンにしても、その数が少なかったですね。
果実では、[Phat Thu(ファット トゥー)]という名前の果物がありました。 [Phat=仏]、[Thu=頭]という意味です。形が仏さまの頭の形に似ているからなのか、そういう名前が付けられています。しかし、食べられません。祭壇に飾るだけです。この果物は私が学校に通う時、路上でも良く売られています。「テト」の前にはそれが多くなります。路上では枝から切り取られて売られていますが、ここでは木に成っていました。これは初めて見ました。
毎年この公園で見る花で一番多いのは「Hoa Mai(ホア マーイ)」の花です。 一本の木全部に黄色い花が咲いています。その中でも特に花びらの数が多い「Hoa Mai」の木が有りましたので、(造花かな・・・?)と思い、近寄って見たら本物の花でした。ものすごい花・花・花でいっぱいです。
しかし、『テト』の時期に合わせて、ツボミの状態からその花を見事に咲かせる技術にはいつもながら感心させられます。『テト』の前に花がそろそろ咲くか、ちょうど『テト』の時に咲く花でないと誰も買わないはずですから、上手く管理しないといけないでしょう。
結局、今年の「花市」では、黄色い「ひまわり」を一つと、赤い「鶏頭の(ような)花」を二つ買い求めました。これをバイクに載せて帰りました。赤い花の名前を後で女房に聞きましたら、ベトナム語で[Mong Ga(モン ガー)]とのこと。[Mong=トサカ][Ga=ニワトリ] なので、まさしく、日本語と符号しています。
「花市」で花を買うには秘訣があって、大きくて、値段が張るものは『テト』前日の午前中、つまり業者の人たちが片付けに入る直前に買うといいのだそうです。業者の人たちも残りの植木や花をまたトラックに積み込んで帰るのも手間ですから、値引きしてでも出来るだけ多く売りたいからです。
事実、そうして女房の実家の家族は『テト』前日にその公園に行き、360万ドン(約1万8千円)の「Hoa Mai」の鉢植えを50%引きの180万ドン(約9千円)で手に入れてきました。そして、『テト』の間はずっと実家の部屋の中に置かれていました。そこは家族全員が集まり、食事をする場所だからです。
そして、ベトナムはいよいよ、2月5日に「テト」を迎えました。2月4日から5日に変わる、深夜0時には毎年恒例の「打ち上げ花火」が15分間サイゴン川から打ち上げられました。今年の花火は昨年よりも花火の大きさと色が見事でした。実家の屋上に家族全員が上がって眺めました。花火が終わると、同じように屋上に上がっていた人たちの家々から「パチパチパチ」と拍手が起きました。旧暦2019年の幕開けです。
● 「テト」初日は「Flower Road」を見物 ●
2月5日が旧暦の正月(テト)になります。今年の日本の干支は「イノシシ」ですが、ベトナムでは「豚」になります。中国も、台湾も韓国も「豚」になって いるようです。日本とベトナムの干支の違いはこの他にも幾つかあります。日本の「うさぎ」「牛」「羊」が、ベトナムではそれぞれ「ネコ」「水牛」「ヤギ」に変わります。
この日、ベトナム全土の各地で、親戚一同が実家に集まり、「テト」のお祝いをしていたことでしょう。そのために、この『テト』の前後には「民族大移動」とも言うべき光景が出現します。かつての日本でも、同じような風習がありましたが、最近の日本では実家に家族一同が集まる機会が少なくなりました。
しかし、ベトナムではまだその風習が根強く残っているのです。私の女房の家でも同じように、女房の家族一同が集まり、新年のお祝いをし、食事をします。ベトナムの『テト』の時には、多くの人たちが先祖の写真が掲げられている<祭壇>に集まり、その前で写真を撮っている光景が良く見られます。
この日はお昼から女房の実家に家族全員が集まり食事会をしました。その後、 昼寝をして夕方4時半過ぎに、市内中心部のNguyen Hue(グエン フエ)通りで毎年開かれている[Flower Road]に行くことにしました。この[Flower Road]は2004年からスタートして、今年で16回目となります。普段は「歩行者天国」と して解放されているNguyen Hue通りが[Flower Road]に変貌します。その長さは約720mもあります。
この日は、家にいる2匹のワンちゃんも一緒にこの[Flower Road]に連れて行き ました。家のワンちゃんは普段は外には出しません。犬が盗まれたり、バイクに轢かれる恐れがあるからです。日本と同じ感覚で、近くの道路で犬を歩かせると、ベトナムではバイクがビュン・ビュン走っていて危ないのです。それで、外に連れて行く機会はそう多くはありません。
2匹のワンちゃんは、この日私が鎖を出したりしている様子をじっと見ていて、 出かける前から、(今日は外に連れて行ってもらえるのだ!!)と察したらしく、大きな声で吠えたり、大はしゃぎしていました。首輪を付けた時からして、その声の感じが違います。よほど嬉しかったのでしょう。
家の2匹のワンちゃんの1匹の種類は「ペキン・ドッグ」で、名前はルビー。もう1匹のほうの種類は「プードル」で、名前はマリと言います。2匹とも小型犬なので、バイクに載せるのも楽です。バイクに載せると、2匹とも嬉しそうに首を左右に回して周りの風景を見ています。
家から10分ぐらいでNguyen Hue通りには着きました。駐車場はものすごいバイクの数でいっぱいでした。この日のバイク一台の駐車料金は2万ドン。駐車場代もテト料金になり値上がりしています。毎年ですが、今年の[Flower Road]にも多くの人たちが集まっていました。
会場内の道路の入り口に置かれていたオブジェは、今年の干支の「豚」さんです。毎年ここにその年の干支のオブジェが飾られます。ここの設営は約1ヶ月前から行われていました。一本の道路全体が、いろんな種類の花で埋め尽くされています。「赤」「黄色」「ピンク」「紫」「青」などの色が会場内に溢れています。
2匹のワンちゃんを連れて歩いていますと、幼い子どもたちが指差し「わー、犬だ、犬だ!」と叫びます。その側にいるお母さんが写真を撮っています。年配の欧米人の夫婦がニコニコして近寄り、ワンちゃんを見て「抱かせて欲しい!」と言うジェスチャーをします。「いいですよ!」と言って、マリちゃんのほうを渡してあげますと、2人は喜んで抱き上げて、記念写真を撮りました。プードル犬だからなのか、マリちゃんは他人にも噛み付いたりしないので安心です。
Nguyen Hue通りの半ばぐらいまではこうして犬を連れて、家族みんなで歩いてゆきました。しかし、何せ人が多すぎて、前にも横にも自由に進むのがままならず、それに家族が腰掛けて軽食を摂る場所も無いので、一緒にいた子どもたちが疲れてきたようでした。2匹のワンちゃんたちもバテテきた様子なので、そこは1時間半ほど見物しただけで帰りました。
● 「テト」2日目はTao Dan公園へ行く ●
「テト」2日目は家族で市内1区にある「Tao Dan(タオダン)公園」へ行きました。2匹のワンちゃんもまた一緒に連れて行きました。前日に行った[Flower Road]は、細長い道路の空間に毎年花やオブジェを展示しています。路上屋台の営業もなく、食事する場所も[Flower Road]の外側にしかありません。
しかし、この「Tao Dan公園」は[Flower Road]よりも面積が広いので、歩くのも楽です。ここにはいろいろな種類の「盆栽」や「花」や「熱帯魚」や「石の造形」や「絵画」などが展示されています。さらに、公園内には屋台の料理も出ていて、公園内の木陰に座って食事も出来ますので、ゆっくりと家族連れで時間を過ごすのなら、この「Tao Dan公園」のほうがいいのです。但し、[Flower Road]は入場無料ですが、ここは入場料が3万ドンです。
ここにも入り口に「豚」のオブジェが展示されていました。この公園の見所は毎年のことですが、見事な「Hoa Mai」の盆栽やその他にもいろいろな盆栽が展示されていることです。私たち日本人が見ても、相当な年数を経ただろうなーと思われる盆栽が多くあります。しかし、それらを買うことは出来ません。眺めるだけです。
その他に、熱帯魚が泳いでいる水槽、いろいろな形に加工した香木、面白い模様をした石、絵の展示などがあり、歩いていて見飽きません。そして園内には大木がたくさんあり、涼しい木陰を与えてくれています。[Flower Road]にはこういう木陰は無いので、ゆっくり歩いていろいろ眺めるのには「Tao Dan公園」のほうが快適です。
一緒に連れて行った2匹のワンちゃんはここでも人気者になり、やはり子どもたちが最初に「わー、犬だ!」と叫びます。そして、恐る恐る手を出して頭を撫でています。2匹とも大人しいので、知らない子どもたちにも喜んでシッポを振り、愛想を振りまきます。ワンちゃんも喜び、ここに来ている子どもたちもニコニコしているので「連れて来て良かったね!」と娘に話したことでした。
しかし、園内は広いので自由に放し飼いにするわけにはいかず、私たちと一緒に首輪に繋がられながら歩いていますので、2匹のワンちゃんも歩き疲れたようで、両手・両足を広げてへたり込みました。それで、私たちも屋台のほうまで行き、屋台の料理を幾種類か頼んで、それが出来た後、木陰に移動してしばし休憩。
2匹のワンちゃんもそこで一緒に休ませました。屋台で買ったソーセージなどを与えますと、2匹ともパクパクと食べています。ここは家族連れでもゆっくりと休憩し、簡単な食事も出来る場所があるので大変過ごし易い場所だと言えます。私たち以外にも多くの人たちが木陰で憩いながら食事していました。
そこには夕方5時頃までいて、また女房の実家に戻り、家にいるメンバーで食事しました。家族の中には、奥さんの田舎に挨拶に行くためにバイクで出かけた兄弟たちもいます。「テト」2日目も、こうして終わりました。
● 「テト」3日目はBinh Duong へ魚釣りに行く ●
「テト」3日目は、サイゴンからバイクで30分ほど離れた場所にある「釣堀」へ女房の家族たちと合計10名で行きました。2年前にはThanh Da(タン ダー)地区の Binh Quoi (ビン クイ)へ魚釣り行きましたが、今年初めてBinh Duong (ビン ズーン)へ行きました。「釣堀」がある、その店名は<Din Ky (ズィン キー)>と言います。
この<Din Ky>は大通りから小道に少し入った先にありますので、「知る人ぞ知る穴場」です。バイクや車の騒音もありません。店の眼の前を川が流れています。川に続く土手には人工芝が張られています。入り口に稲が階段上に植えられていたので(本物かな・・・?)と思い、触ってみましたら、プラスティックで出来ていました。店の前にあった池の中には鯉が泳いでいました。
ここには「釣堀」だけの娯楽施設だけでなく、プール、ホテル、カラオケルームなどもありました。2年前に行ったBinh Quoiでの魚釣りでは、魚を釣った後、そこで調理してもらって食べるか、持ち帰るかだけでした。食べる場所も、狭いスペースで食べていました。
しかし、ここは作りが田舎風の開放的なスペースで、家族連れでも楽しめる場所でした。魚釣りに興味が無い小さな子どもでも楽しめる「遊具類」がありましたので、小さい子どもたちはそこで遊んでいました。女房のお母さんが彼等の世話をしてくれていましたので、我々が魚釣りに夢中になっていても安心です。そして、結果としてここに来て大正解でした。すごい釣果があったからです。
私たち大人と娘たちは早速店内にある「釣堀」に行き、魚釣りに挑戦しました。竿は竹竿でした。釣り針も付いていました。ここの良いところは、魚釣りは無料であったことです。時間に関係なく、タダです。魚が釣れたら料金を払って持ち帰るか、店内のレストランに持ち込んで調理してもらい、そこで食べるかです。食べた後に料金を払えば良いだけです。
「釣堀」の中にいる魚の名前は「Ca Tai Tuong (カー タイ トゥーン)」と言います。「Ca=魚、Tai=耳、 Tuong=象」と言う意味です。その姿が、ちょうど 「象の耳」のような形をしているので、こう呼ばれています。確かにその姿・ 形は「象の耳」に良く似ています。この魚は、メコンデルタ・ツアーでの料理の定番で、「象耳魚の唐揚げ」としてよく出てきます。
「釣堀」の中には小さな橋が架けてありましたが、その名前がBen Tre(ベン チェー)にある橋と同じ名前のCau Rach Mieu (カウ ラク ミイユ)となって いました。さらにその横に、釣った魚を園内のレストランで食べる場合は【魚1kgにつき18万ドン(約900円)、持ち帰りの場合は同じく1kgが12万ドン(約600円)】という表示がありました。
魚釣りの餌は何と「トマト」でした。一個の「トマト」が針に刺さるぐらいの大きさに無造作に切ってあります。その「トマト」を釣り針に付けました。(これで大丈夫なのだろうか・・・?)と言う疑問は湧きました。しかし、与えられた餌はそれしか無いので、それで釣るしかありません。私はトマトに針をただ普通に刺しました。みんなもそうしています。
餌を付けた針を「釣堀」に入れて、20分、30分と経ちましたが、なかなか魚は釣れません。浮きが沈んだところをサッと竿を上げますが、餌だけが見事に食べられています。それが5, 6回も続きました。しかし、これだけ餌が取られるというのは確かにこの「釣堀」の中には魚がいるという証拠です。
私は最初深く考えずに、単純にトマトの果肉の真ん中にただ針を刺していました。しかし、何回も餌が取られたので、(餌の付け方が悪いのかな・・・?)と思い、トマトに釣り針を刺す角度を変えました。トマトの皮と平行になるように、針を果肉の中に刺し込みました。こうすれば、針もトマトの果肉の中に隠れて見えなくなるからです。
すると、10分もしないうちに、当たりが来ました。竿をグイグイと引き込む感触から
(これは、大きいな!)と分かりました。引き上げてみますと、やはり大きい魚です。見事に大物の1匹が釣れました。日本でもこんなに大きい魚を釣った経験はありません。
そして、10分もしないうちに、また1匹。さらにまた、その10分後に1匹が釣れました。1匹が1kg~1.5kgぐらいはありました。それが、私一人で3匹も釣れました。一緒に行った家族の中で、4人ほどが挑戦しましたが、私以外はまだ誰も釣れません。
私が3匹目の魚を釣った後、今度は娘が1匹の魚を釣り上げました。魚の種類は同じ「Ca Tai Tuong」です。やはり、娘が釣った魚も大きいサイズでした。娘も本当に嬉しそうな笑顔を浮かべました。一時間ぐらいの間に、私が3匹、娘が1匹、合計で4匹の大きい魚を釣り上げました。4匹も釣れたら、そこで半分食べるにしても、持ち帰るにしても、値段も高くなるし、食べきれないし、これで十分です。1匹が1kg~1.5kgぐらいはありました。大成果でした。
そこで釣りは終わりにして、すぐにレストランで4匹のうちの2匹だけを料理してもらうことにしました。「Ca Tai Tuong」は「鍋料理」で食べるよりも、「唐揚げ」にしたほうが美味しいと言いますので、2匹を「唐揚げ」にしてもらうことにしました。そのレストランに向かう途中、「水槽」の中で飼われていたお魚さんたちがいました。「手長エビ」「ウナギ」「なまず」「クエ」などがいました。「1kgが幾らするか」その値段も貼られています。
そして、待つこと約20分。2匹の「Ca Tai Tuong」が「唐揚げ」になって運ばれてきました。この魚の身をライスペーパーで香菜と一緒に巻いて食べます。「唐揚げ」にしてもらうと、魚のウロコが外側を覆い、キレイな模様になっています。そして、そのウロコも食べられます。センベイのように、パリパリとしています。やはり、自分で釣り上げた魚を食べるのは気分的にも美味しく感じます。
そして、食事を終えた頃には夕暮れが迫ってきていました。私が「来年もまた ここに来ようね!」と言いますと、みんな肯きながら笑っていました。我々は サイゴン市内に向けて帰ることにしました。今年の『テト』も家族と過ごすこと が出来、充実した『テト休み』になりました。来年もまたこのパターンでいこうと思います。
「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。
テト期間中、交通事故による死傷者多数か
国家交通安全委員会によると、テト(旧正月)期間中に交通事故が248件発生し383人の死傷者が出たという。一般的にテトはベトナムにとって最も重要で大きな祝日のため、旅行や飲酒、パーティを行うことが多くなる。
その結果、テトの日には多数の事故が報告されており、2月2日~9日までは161人 死亡している。これは、1日に20人が死亡していることになる。しかし、1日に28人が死亡した昨年のテトと比較すると今年は死亡者数が減少した。事故件数は テト翌日の6日(水)から増加したという。
警察は1532件の交通違反を取り締まり、5億1600万ドン(約240万円)の罰金の徴収に加えて、456台の車を押収し、204人の免許を一時的に剥奪した。また、水路での犯罪を35件摘発し、2900万ドン(約14万円)の罰金を課したという。しかし、水路や鉄道における事故は報告されていない。
国家交通安全委員会のNguyen Trong Thai氏によると、主な死因は、飲酒運転及びヘルメットの未装着だという。さらに保健省は、2月2日?7日の間に11人が暴行を受け死亡していると報告した。国家交通安全委員会によると、ベトナムにおいて衝突事故は主な死因のひとつであり、1時間ごとに約1人が死亡しているという。
<POSTE>
◆ 解説 ◆
毎年のことですが、『テト』が終わると、「今年のテト期間中の死亡者数○○○人」 という記事が新聞に載ります。
それだけ『テト』の期間中は交通事故が普段よりも 多いということです。
新暦の正月の期間でも同じように、交通事故が増えます。以下のような記事が載っています。
「新暦正月4連休中の交通事故件数147件、 110人死亡」 <VIET JOより>
それが毎年の『テト』のたびに繰り返されますので、今年の『テト』が来る一週間ぐらい前から、私が教えているクラスで次のような話をしました。「テトの時は みんなが普段以上に酒を飲み、ビールを飲みます。そして酔っ払い運転のバイクや車が道路を走るので、外に出たらバイクや車にくれぐれも注意してくださいね!また元気な姿で会いましょう!」と。
事実、今から5年ほど前に、一人の男の子の教え子が、『テト』で田舎に帰っていた時交通事故に遭い、足を骨折しました。その生徒は『テト』が明けて一ヶ月後には日本へ実習に行くことが決まっていました。学校には松葉杖を付いて来ていました。しかし、その事故のせいで、日本の会社側から「キャンセル」の通知が来ました。一ヶ月ぐらいでは治らない怪我だったからでもあります。その男の子は涙を流しながら田舎に帰って行きました。
そういう先例があったので、今年の『テト』が来る前、生徒たちが田舎に帰る前からそういう話をしていたのでした。そして、『テト』が明けた日の最初のクラスの授業に入りました。すると、友達に両肩を支えられて教室に入って来た一人の女子生徒がいました。
「どうしたの?」と私が彼女に訊きますと「田舎でバイクに足を轢かれました」と言うのでした。その足元を見ると、足の甲の上から包帯をグルグルと巻いています。まだ痛そうな表情をしています。「いつ事故に遭ったの?」と訊くと、「二日前です」と答えました。
骨が折れているほどのケガではなさそうでしたが、それでもバイクに足を轢かれているので、完治まではしばらく掛かるでしょう。原因は彼女側にあるのではなくて、先方にあるのは明らかでしたが、それでも事故に遭っただけで、彼女にとっては大変な災難です。
彼女は「私はテトでもビールは飲みません」と話していましたが、『テト』の時ベトナムの男性は大量にビールを飲みます。そして、その後、中には酩酊状態でバイクに乗る人もいます。女性はビールを飲まなくても、外に出ると、そういうバイクに出会い、災難に遭います。ビールや酒を飲んだ人は事故を起こす確率が高くなり、飲まない人も災難に遭うわけです。