春さんのひとりごと
新年おめでとうございます。
本年は日本からきた大道芸のお話からスタートです。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。
<大道芸 in Viet Nam>
12月中旬に日本から来た劇団員が、ベトナムのホーチミン市内の劇場で公演しました。2日に分けて劇を行い、入場料は無料。お客のほとんどは多くのベトナム人でしたが、延べにすると600人くらいのベトナム人の観客が席を埋めていたでしょうか。
最初にまず全員が七福神の仮面と装束に身を包んで、舞台入り口から登場。ベトナムにも似たような神様の装束があるので、ベトナム人の観客にも違和感無く、大喜びで拍手して舞台がスタート。
その後は、劇団員自ら即席のベトナム語を駆使して、ベトナム人のお客を舞台にあげて、津軽三味線に合わせて踊りを教えて観客の笑いを誘い、さらに今度は一人で津軽三味線の落ち着いた弾き語りを披露して、いつもはペチャクチャと私語をすることの多いベトナム人の聴衆もこの時は静かに耳を傾けていました。
それが終ると、手品師の登場。すっとぼけた演技ながら、決める所はピタッと決めて「お〜つ」と観客をうならせてくれる、その緩急の演技の素晴らしさはそれはそれは見事なものでした。
しかし今回の公演の中で、2日間とも多くのベトナム人の観客を称賛させたものは、劇の最後に披露した劇団員全員による大太鼓・小太鼓による「波」という名前の演奏でしたでしょうか。「波」という名前は、寄せては返す波が無限に続くことから、「永遠の平和を願って創った」とその作者が述べていました。
クーラーもない、扇風機しか回っていない大広間の中で、全員が汗だくになりながら太鼓を強弱取り混ぜて必死に打ちつづけているその姿と、一糸乱れぬその演奏の見事さには、ここにいた多くの観客が感動し、盛大な拍手を贈っていました。
特に一人の団員が、見るからに重そうな大太鼓を肩に担いで舞台をゆっくり・ゆっくり一周していくのに合わせて、他の二人がその大太鼓を両方から打ち続ける演技には絶賛の嵐でした。日本人である私自身も、かつてこのような演技を日本で見ることなどまずなかっただけに、大いに感動しました。
最初の司会者の話では、日越外交関係樹立30周年を記念して今回ベトナムでこの劇団の公演を行うことになり、この劇団は、チンドンや大太鼓演奏など「演劇」の枠を超えた様々な催しで国内外の公演を成功させてきたそうで、2001年には4ヶ月に及ぶ英国放浪ツアーで外務省在外公館長賞を受賞したといいます。
このような有名な、そして実力もある劇団員が、ベトナムを訪問して無料で公演を行い、多くの観客を魅了してくれたことは、ベトナムの人たちにとっても印象深いものを与えたに違いありません。隣りに座っていたベトナム人の大学生くらいの年齢の一団は「ブイ ワー・ブイ ワー(楽しい・楽しい)」と、手を叩いて興奮していました。
今も世界の到るところで、言葉の壁を乗り越えて素晴らしい芸で観客を感動させているようなこういう様々な人たちが、外国人に日本の文化や伝統を紹介しているのでしょうが、そういう人たちに心から応援歌を贈りたい気持ちです。
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