アオザイ通信
【2002年3月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

今年のテトは2月12日でしたが、1月に入るとバス、列車、飛行機の切符は全て売りきれ値段も20%高騰します。そして毎年必ずどういう訳か数百人単位で交通事故による死者がでます。何で、どういう状況で「死ぬ」という現象が起きるのか不思議ですが、今年も同じように死傷者が出るでしょう。おそらく後先を考えない無謀な運転をバイクでするのでしょうが…ですからこの時期バイクで外出するのは大変危険です。

我々外国人から見ると、「たかが田舎に帰るのに何も死んでまで帰らなくてよかろうに…」と思いますが、彼らベトナム人はそうは思わないのでしょう。このテトは何としてでも、万難を排してでも、交通事故に遭う危険を犯してでも、自分の生まれ育った実家に帰り、両親に会い、先祖の墓参りを済ませ、お年玉を上げ、親戚一同とワーワードンちゃんさわぎをして酒をくらい、牛飲馬食するような日々が3日ほど続き、そしてそれをすませて安心して都会に帰り、その後また1年間頑張るというベトナム人にとっては一つの「節目」にあたる大切な正月といえます。

昔の田舎はどこもそうでしたでしょうが、私の田舎でも子どものころ親父の兄弟、親戚は全員1月2日か3日に集まり、みんなで顔を合わせ食事をし、酒を飲み談笑していましたが、それと同じですね。しかし近頃の日本はだんだんと正月にみんなが顔を会わせるということが少なくなりましたが…。今の日本ではみんな正月も仕事があるからでしょうか?

「1年の労働と稼ぎは全てこのテトの日のために、どんちゃん騒ぎするためにがんばるんだ」というベトナム人の考え方がよくわかる大切なときです。

閑話休題

3月6日早朝に日本到着を考えています。そうです、日本へ帰るのです。ベトナム人の花嫁さんに日本を見せるのです。昨年の今ごろは結婚の準備のために役所で書類をとるために日本へ帰った。今年は晴れて花嫁さんをつれて日本へ里帰り、ベトナム人の奥さんに日本のきれいな満開の桜を見せてあげたい…

日本の領事館へ足を運びます。


<結婚式余話>その1

今回からは3回に渡って結婚式余話を。結婚式やお葬式というのはその国独特の風習を引き継いでいるので、よその国の人から見ると面白いことや、変わっているなーという所がいくつか見うけられる。ベトナムで今回結婚式を準備してみて面白いなーと思ったところをいくつか挙げてみることにする。第1回は招待状について。

■ 招待状について

招待状を相手に渡す方法は、日本のような郵送ではなく、直接持参して相手に渡すというやりかたがベトナムでは普通である。相当離れた距離でもバスに乗って丸一日かけて持参する(特に相手が自分の親族の場合)ことは珍しくない。今回彼女の父は中部のニャーチャンの近くまでバスで片道10時間くらい(約400キロ)掛けて招待状を持って行った。

さらにまた違うのはサイゴン市内に住んでいる招待者の場合、結婚式の招待状を渡すのは、何と式の一週間前だという。「なんでそんなギリギリに渡すの?」と聞くとあまり早く渡しすぎるとその日を忘れてしまうからだという。それで式の前一週間は招待状を相手の家に届けるだけで(100人や200人は少ないほうだから)大変な労力である。日本は最低でも一ヶ月前には相手に招待状を送らないといけないというとベトナム人は不思議な顔をする。

日本では人数を早めに確定するために相手の出席・欠席を確認する必要があるが、こちらでは招待状は渡すがその時相手に出席、欠席を確認するのは失礼とされている。従って当日は何人来るのか正確には分からないけどテーブルが足りないといけないので、どうしても多めに予約しないといけなくなる。だから最後まで実際にお客が来ないで、茶碗とハシが揃えてあうだけのテーブルが出てしまう。食事の形は日本のように一人ずつ料理が出るのではなく、一つの皿に盛られた料理をみんなで食べ合う中華料理のような形式だから一つのテーブルに正式には10人だが7人とか8人しか座っていなくてもさほど問題はない。日本のようなお持ち帰り用の引き出物もない。またお客が来なくて実際に食事をしなくても予約した人数分の料金は払わないといけない。もったいないから家族で持ちかえることもあるという。

さらにまた違うのは、花婿が女性の友達を招待し、花嫁が男性の友達を招待するのも珍しくはない。そこらへんは「友達は招待するのが当たり前」という考え方で全然違和感はない。

・・・と、まぁ日本と違うのはこれだけじゃありません。結婚余話その2もお楽しみに!



ベトナム写真館 バックナンバーINDEX