春さんのひとりごと
家族でBuu Long (ブー ロン)への小旅行
7月半ば頃、ベトナム人の友人の女性・Oanh(オアン) さんの<誕生日会>を「スシコ」で祝ったことがありました。その時、「コロナ」で暗い気持ちがみんな続いていたので、8月半ば頃に中部地方のQuang Ngai(クアン ガーイ)省にある小島Ly Son (リー ソン)島へ気晴らしに、「私たちの家族と一緒にみんなで3, 4日の旅行に行きましょうか!」と言う提案がOanhさんからありました。
その席には女房と娘も来ていました。そして、8月初めには、娘の「高校の卒業試験」がちょうど終わるので、「高校生活最後の思い出の旅になるわね!」と、女房と娘も賛成しました。すると、何とわずか一週間も経たないうちに、中部のDa Nang(ダナン)市で「コロナ」の集団感染が発生。中部地方に飛行機で行くこと自体が難しくなり、その計画は潰れました。
Oanhさんも大変残念がり、女房に「本当に残念です。悲しいです!」とメッセージを送ってきました。しかし、やはり一番悲しんでいたのは娘でした。例年であれば6月から始まっていた「夏休み」が今年は「コロナ」で次々と変更になり、「夏休み」なのか「自宅待機」なのか、生徒たちにとっては良く分からない状況が続いていたからです。
そして、娘の「卒業試験」が終わり、ほっと一息ついた頃、しばらくして、念願の<大学の合格発表>もありました。おかげさまで、我が娘も無事に合格しました。その結果も出たので、女房の姉から「私たちの家族と一緒にタクシーに乗って、日帰りで遊びに行こうよ!」と言う誘いが有りました。女房の姉にも娘と同じ年齢の息子がいて、彼はサイゴン市内の難関大学「Bach Khoa(バック コア)大学」に合格したのでした。
今年は「コロナ禍」で、家族みんなでの遠出の旅行がずっと無理になっていたので、「よし、ではみんなで行こう!」と決まりました。最初は、両家族とも「気晴らしの旅」くらいに考えていました。そこに何が有るのかも知らなかったからです。しかし、結果としては、両家の子どもたちの<大学合格のお礼の報告>をしに、お寺参りに行ったような旅になりました。
今回行った先は「Khu Du Lch Buu Long(クー ユー リッキ ブー ロン)」。日本語に訳せば「ブー ロン ツーリスト エリア」と言う意味です。Buu Long という場所にある観光地です。その名前は、私自身もずいぶん以前から知ってはいました。Buu LongはDong Nai (ドン ナーイ)省のBien Hoa (ビエン ホア) 市に位置しています。
私の教え子たちの中には、故郷がそこに有る生徒たちも多くいて、「Buu Long はキレイな所ですよ。ハロン湾のような島がたくさん有ります。一度遊びに行ってみてください」と、以前から私にも話していたことがあったからです。携帯電話で、そこの写真も見せてもらったことがあります。写真で見たそのBuu Longは確かにキレイで、島々が湖面に浮かんでいる光景は、ベトナム北部のハロン湾の光景に確かに似ていました。
しかし、ハロン湾は海の中に浮かんでいる島々ですが、このBuu Longは湖の中に浮かんでいる島だと生徒から聞きました。Dong Naiに故郷が有る生徒の一人はここを良く知っていて、「Buu Longの“Buu” は“宝石”の意味です」と教えてくれました。ここで採掘された岩が重宝されて、その名前が付けられたと言います。事実、このBuu Long地区は岩山が多く、ずいぶん昔からここらの山の中にある石を切り出して、他の地区に運んでいたそうです。
そして、地下深くまで岩を堀り出した場所には、川の流れと雨水が合流して、長い年月の間に溜まって深い湖となりました。掘り出せずに残った固い岩山は湖面に突き出て山水画のような姿になり、観光地としての今のBuu Longが出来上がったというのです。ハロン湾はまさに自然が創り上げた造形美に満ち溢れていますが、Buu Longは人間の手が加わって出来た観光地であり、そういう意味では市内にある遊園地やテーマパークと変わらないようです。しかし、実際にそこに行って見ないことには分かりません。
面白いのは、私の女房の家族たちのうちで、今まで誰一人もそこには行っていないのでした。サイゴン市内にある動物園やDam Sen (ダムセン) 公園やSuoi Tien (スイ ティエン) 公園にはテトの時に何度も行きましたが、Buu Longに行ったことがあるのはいませんでした。(女房のベトナム人家族の誰も行ったことがない、そこがどんな所かも知らないのなら、これまた面白い!)と思いました。
それで、8月最後の日曜日に私の家族と姉家族の全員6人で行くことに決めました。サイゴン市内から行くと、3区にある姉夫婦の家が距離的には少しですが近くなるので、一旦そこまでバイクで行き、バイクはそこに預けて、そこからタクシーを拾ってBuu Long に向かうことにしました。バイクでも行けない距離ではないのですが、一人旅ではないので「安全策」を採って、タクシーで行くことにしました。
当日は朝9時半に3区の姉夫婦の家を出発。姉夫婦の家の路地から歩いて通りに出ると、我々を待ち構えていたように一台のタクシーが停まっていました。中年のおじさんが運転手でした。姉が「Buu Longまで行ってください!どれぐらい掛かりますか」と、その運転手に訊きますと「はい、分かりました。約1時間で着きますよ」との答え。それを確認して全員でそのタクシーに乗り込みました。
タクシーに乗る時には、私はいつも運転手の隣の助手席に座ります。そこからの眺めが一番いいからです。そして、バスに乗る時も、出来るだけ運転手の後ろの席に座るようにしています。座席指定の時にも、切符を買う時にはその席を要求しています。その理由も、景色の眺めが良いことと、後部の席に座るよりは、前の席に座っていたほうが、何かが起こった時、すぐに外に出やすいからです。
この時の運転手は中年のおじさんでした。彼は良く喋るおじさんでした。姉も良く喋るタイプですので、タクシーに乗っている間は二人の会話がほとんどを占めていて、姉がいろいろ質問することに対して、そのおじさんは嫌がりもせずに喜んで答えていました。しかし、おじさんは話に夢中になると、時々ハンドルから手を離して、両手を広げてジェスチャーをするので、横に座っていた私はハラハラしていました。
そして、タクシーに乗ること10分ぐらいして、女房の姉がタクシーの中から、右側のガラス窓越しに外の光景を指さして、私たちの家族に大きな声で叫びました。「あぁー、あそこに今年からAiちゃんが通う大学が見えるよ!もうすぐAiちゃんはあの大学に通うのですよ!」と。事実、タクシーの窓から見えたその大学が、我が娘・Aiが通うことになる「HUTECH (フーテック)大学」なのでした。私自身はこの通りを今まで何回もバイクで通過してはいましたが、「HUTECH大学」がここに有ることは全く知らず、この時初めて、今年から我が娘が通うことになる大学を見たのでした。
そして、タクシーはそのままBuu Longを目指して北上して行きます。サイゴン市内の3区から、今回我々が目指すBuu Longまで行くには、先ずThu Duc (トゥー ドック) 方面を目指し、それからDi An (ジー アン) という地区に入ります。それからしばらくタクシーに乗って行きますと、Hoa An (ホア アン)橋と言う名前の橋を渡りました。タクシーのおじさんがその名前を教えてくれました。そこから左に曲がると、しばらくして目指すBuu Longに着くのです。
おじさんが「Buu Longまであと10数分ぐらいで着くよ」と言った時、私の視界に入ったのは、左右の路上の店の前に、黄色や茶色をした石片が無数に積んで置いてあった光景でした。たぶん、それらの無数の石はこのBuu Long地区の山で採掘された石なのでしょう。そういう店が、タクシーの中から見える道路の左右両側に幾つも有りました。
そして、サイゴン市内の3区を出てから、ちょうど1時間後の10時半に「Khu Du Lch Buu Long」に到着。運転手のおじさんが言った通り、ちょうど1時間で着きました。料金もピッタシ50万ドン(約2,500円)でした。女房が渡したお金を受け取ると、おじさんは「帰りもサイゴンに戻るのなら、この場所にずっと待っているよ」と言ってくれました。おじさんも帰り道にお客が拾えるかどうか分からないでしょうし、我々としてもまた別のタクシーを探すのも手間なので、帰りもまた彼にお願いすることにしました。それで、女房が彼の電話番号を訊いていました。
Buu Longに着いて初めて分かりましたが、私が想像していた「湖の中に奇岩」が有る光景はそこにはなく、テーマパークのような入口になっていました。1人12万ドン(約600円)の入場券を買ってゲートに入ると、大きな龍のオブジェが入場門の入り口にドーンと据えられていました。Buu Longの「Long」は「龍」と言う意味がありますので、それにちなんだものです。
園内には多くの樹木が有り、色とりどりの花が咲いていました。歩いて少し行くと、十人ぐらいが座って飲食出来る売店が幾つも有りました。みんなが「ノドが乾いたね!」と言うので、そこの売店に座り、飲み物を頼みました。私はアイスクリームをお願いしました。売店のすぐ前には「空中ブランコ」や「ジェットコースター」などが有ります。
しかし、「空中ブランコ」は高さもあまり高くなく、「ジェットコースター」もこれまた一周すればすぐに終わる長さなので、何回も同じ所を回っています。小さい子ども向けの遊具のレベルです。それでも、姉の息子と私の娘はいろんな乗り物に乗って遊びたいらしく、飲み物を手にして「ちょっと向こうの乗り物で遊んでくる」と言って、一緒に歩いて行きました。姉と女房二人もその後を付いていきます。
私はしばらくそこの売店で休んでいました。眼の前でぐるぐると回っている「空中ブランコ」を眺めていると、まだみんなも戻って来ないし、ふと(あれにでも乗ってみるか)と思いました。「コロナ」がまだ続いている状況を恐れてか、この日の園内はお客も少なく、「空中ブランコ」に乗り込んだのは私を含めて5・6人ほどしかいませんでした。
子どもたちが乗ることが多いためでしょうが、席に座ると、係員が左右から吊るした頑丈なロープに、鉄棒のレバーを落として、子どもの体が飛び出ないようにしてくれます。そして、人数が揃った頃に「ブーッ」という音が鳴り、「空中ブランコ」がゆっくりと回り始めました。(こういうのに最後に乗ったのはいつ頃のことだろうか・・・)と考えましたが、思い出せないぐらい昔のことです。
ブランコがグルグルと動いてから5分もしないうちに、「空中ブランコ」はゆっくりと止まりました。係員は子どもたちの席の鉄棒のレバーを外してあげていましたが、私は自分で外して、足元をゆっくり確かめて降りました。そのころ、二人の子どもたちも姉も女房も戻りました。そして、すぐ近くに有る「お化け屋敷」に、私と娘が入りました。先ほどの「空中ブランコ」もそうでしたが、ここもお金を払う必要は有りません。
中は真っ暗で、人を驚かせる作り物の動物が突如現れたり、暗闇の中で何かがゴソゴソと動いていたり、突如「キャーッ」と叫ぶ声が聞こえたりしましたが、私はもちろん、娘も全然怖がりません。そこを出た後、娘と二人で思わず笑いました。今まで「お化け屋敷」は日本でも、そしてここベトナムでもいろいろ行きましたが、ここが一番怖くない「お化け屋敷」でした。
その後、さらに歩いて行くと、「動物園」のような場所が有ります。いろいろな動物がいました。大きな檻の中に、猿や鹿や孔雀やキジなどが入っています。鹿や孔雀なキジなどは我々を見ても、檻の中をウロウロと歩くだけですが、お猿さんは違います。金網の中から外に指を出して、「何か頂戴!」という仕草をします。よほどお腹が空いているのでしょう。私たちはここに何も食べ物は持ち込んでいなかったので、お猿さんに上げることは出来ませんでした。そこにいた係員も「食べ物は上げないでくれ!」とお客さんに注意していました。
「動物園」の檻の先には、「植物園」のような場所も有りました。みんなはまだ孔雀やキジなどを見たい様子なので、私は先に「植物園」のほうに進んで行きました。これが失敗でした。「植物園」の中を一人でグルグルと回っているうちに、みんなとはぐれてしまったのです。まあ、しかし、狭い園内でもあるし、携帯電話もあるので、心配はしませんでした。
園内は「龍」にちなんだ造形物がいろいろ作られています。(しかし、肝心の湖はどこにあるの・・・?)と、思いながら歩いて行くと、突如見晴らしいがいい丘の上に自分が立っているのが分かりました。その丘の上から湖が見えたのです。湖の中に聳え立つ岩山が有りました。生徒の携帯電話で見せてもらった写真と同じ光景が眼下に広がっていました。
(これが想像していたBuu Longの景色なのか・・・)
と、想像していたものと、実際の光景が重なりました。確かに、そこには「ミニ・ハロン湾」とでも言うべき光景が有りました。そして、私は斜面を歩いて降りてゆきました。高さも大して高くない丘ですので、すぐに降りることが出来ました。湖の淵に立ち、そこにしばらく立って湖面に浮かぶ光景を眺めました。
大小さまざまな岩山が湖面に浮かぶような姿で立っています。そして、右側にはひときわ大きい岩山が聳えていて、その頂上にはお寺が建てられています。この湖の中をボートで遊覧出来るように、白鳥の形をした「ボート乗り場」の周りには、に多くのボートが浮かんで待機しています。北部の「ハロン湾」では大型の「豪華クルーズ船」で観光し、船上で食事も出来るし、宿泊もできますが、ここでは湖を一周するだけです。
それでも、サイゴン市内にはこういう景色を見ることは出来ないので、私自身は大変気に入りました。左側に眼を移すと、岩山から滝が流れ落ちて来ていました。滝の高さは20メートルぐらいですが、(何でこんな場所に滝が有るの?)と不思議に思いました。後日、ここに来たことがある生徒に訊くと「自然の滝ではなくて、人工の滝ですよ」との答えでした。しかし、スケールは確かに小さいものの、これもまたキレイな眺めでした。
その滝が見える場所は小さい池のようになっていて、湖と繋がっています。その滝をバックにして写真を撮るお客さんが多くいました。そのために、滝の近くまで行けるように池の中にはコンクリートで作った飛び石が有り、そこをみんな歩いていました。その先には遊歩道が小高い山の上のほうまでずっと続いていました。
私はその遊歩道を歩いて上のほうまで行きました。すると、そこには大きなお寺が有り、仏さまが寝た姿で横たわっていました。いわゆる「寝釈迦」と呼ばれるものです。ここの仏様は穏やかな表情をしています。この時、僧服を着た二人の人が、その「寝釈迦」の全体を布で拭いてあげていました。服の裾や足のほうまで丁寧に拭きあげています。
私はこのお寺から一度女房の携帯に連絡しました。今、私がお寺に着いたことを知らせると、「今、こちらは別のコースを移動しているので、そこに待っていて」と言う返信が来ました。それで、しばらくこの辺りの景色や建物を眺めることに。このお寺から下を眺めると、最初に見た場所とはまた違う湖の光景や岩山が見えます。その岩山からは滝が流れ落ちていました。先ほど見た滝とはまた違う滝です。
お寺のすぐ横はレストランになっていて、そこには欄干が長く続いていて、お客さんが湖の光景を眺めながら食事が出来るようになっています。そこからの光景の見晴らしがいいので、食事はするつもりは有りませんでしたが、そこに移動しました。別のお客さんたちは食事しながら、そこから見える光景を楽しんでいました。私はそこから写真を撮るだけです。この時初めて知りましたが、この場所は私たちがタクシーで着いた所からすぐ近くの場所にあったのでした。
そのレストランの欄干の端まで行くと、下のほうに降りる小道がまた別にありました。その突端が小島のようになっていて、そこには船着き場が有り、ボートが何艘か泊まっていました。そこからの光景が岩山から流れ落ちる滝が良く見えそうなので、下に歩いてゆくことにしました。そして、この道を歩いて行って正解でした。
事実、その船着き場に着くと、そこからの眺めは岩山や滝が良く見えました。多くの観光客の人たちがそこで記念写真を撮っていました。私は一人だけでしたので、湖面に浮かぶ岩山の写真を自分で撮っていました。すると、湖のほうから私を呼ぶ声が・・・。何と、女房と娘と姉の家族たちがボートに乗り込んでいて、そこから私を手招きしているではありませんか。
それがハッキリと私にも見えました。それで、船着き場のほうに駆け寄って、ボートが来るのを待ちました。2分もしないうちにボートがそこに着きました。それにすぐ乗り込んで、私もみんなも安心しました。聞けば、20分ほど前にこのボートに乗り込んで、湖をグルグルと回っていた時、ちょうどこのボート・トリップが終わりかけの時間頃に、ボート上から私の姿を見て、思わず私に向かって叫んだそうです。この時のボート代はタダではなくて、一艘の値段は30万ドン(約1,500円)だったと言いました。
それで、私がそのボートに乗り込んで、対岸に着いた時刻がちょうど午後1時。この時、ちょうど小雨がパラパラと降り始めました。ボートが着いたすぐ近くに、小さいレストランが有りましたので、そこでみんなでお昼ご飯を食べることにしました。みんなはチャーハンやハンバーグなどを注文していましたが、私はまだ外が暑かったこともあり、アイスクリームを注文しました。
30分ぐらいそこでゆっくりと休んでいましたら、ちょうど1時半に大雨が降り出しました。小さいレストランは室内にあるのではなくて、屋根が付いただけのテーブル席でしたので、猛烈な雨が降り込んできました。しかし、身を隠す部屋が無いので、仕方がありません。みんな身を寄せ合って、大雨が止むのを待ちました。
この時の大雨は約1時間続いてようやく止みました。雨が止むと大変涼しくなりました。それで、私が先に歩いて行った、「寝釈迦」の仏像があるお寺に行くことにしました。そこに行けば、私たちがこのBuu Long にタクシーで着いた場所の近くに戻ることが私には分かっていたからです。みんなはそのことを知りませんでしたが、私の後に付いて来てくれました。
そして、その「寝釈迦」の仏像に着いた時にまた雨が降り出しました。まるで、(しばらくここでゆっくりしていきなさいよ)という感じの、優しい雨の降り方でした。それで、姉の家族全員と私たちの家族全員で、このお寺に「大学合格のお礼」の報告と、これから4年間に亘る「大学生活の祈願」をしようということになりました。
こういう時のベトナム人の振る舞い方は非常に敬謙そのものですね。女房も姉も子どもたち全員が線香に火を点けて恭しく頭を下げて<お参り>していました。日本人の私も当然それに従いました。外は雨が降り続いていますので、私たち以外のお客さんはいませんでしたので、両家の家族たちだけの静かな<お参り>になりました。
このお寺には年輩のお爺さんがいて、いろいろなことを姉が質問していました。それによると、もともとここには大陸から来た中国人が住み着いていて、三百数十年前にこのお寺を建てたと言います。確かに、ここに寄進している人たちの名前は漢字で書いてある名前が多かったのでした。カナダから寄進したらしい人の名前も有りました。
姉はそのおじさんと30分ぐらい話していました。そして、女房と相談して、お礼として賽銭箱にお金を寄付していました。今回、初めて来たお寺なのですが、その行動には、私自身もジーンとした感動を覚えました。初めてお参りしたこのお寺は、両家の息子と娘の「大学合格のお礼の報告と大学生活の安寧」をお願いしに行った、思い出深いお寺になりました。
姉たちがお賽銭箱に寄進した姿を見られていたのでしょうか、姉がいろいろと質問していたおじさんは、私たちとの別れ際に4個の大きなザボンをくださいました。姉も女房も厚くお礼を述べてそこを去りました。結果として、今回の「Buu Longへの旅」は「大学合格のお礼の報告と大学生活の安寧」となったなぁーと、私が思った所以です。
そして、タクシーが最初に着いた場所に戻ると、あのサイゴンから私たちを乗せて来てくれたおじさんが、ニコニコして私たちを手招きしていました。そこで、ずーっと私たちを待っていてくれたのです。
午後3時20分にBuu Long 発。サイゴン市内の3区の姉の家に着いたのがちょうど4時半。料金はまたピッタシ50万ドンでした。僅か一日足らずの短い小旅行ではありましたが、十分楽しいものでした。さらには、甥っ子と娘の大学祝いを兼ねて、記念すべき「Buu Longへの小旅行」にもなりました。
「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。
ベトナムの「食」が5つの世界一に認定、汁麺や発酵食品などの種類の数で
ワールド・レコード・ユニオン(WorldKings)は8月29日、ベトナムの「食」を「5つの世界一」に認定した。これに先立ち、ベトナム版ギネスブックのベトナム・ブック・オブ・レコード(Vietkings)は2020年初めからワールド・レコード・ユニオンに対し、世界記録認定にベトナム料理を推薦していた。この度認定されたベトナム料理に関する5つの世界記録は次の通り。
1.世界一多種類の「汁麺」がある
ワールド・レコード・ユニオンによれば、ベトナムには牛肉のフォー(牛肉入り米麺)、バインカイン(タピオカ麺)、ブンボーフエ(北中部地方トゥアティエン・フエ省名物のピリ辛牛肉麺)、フーティエウ(南部を代表する豚骨ベースの米製麺)、ブンマム(魚介の発酵調味料を使った南部の米製麺)などを始め、全国各地に164種類の汁麺がある。現在もその数は増え続けているという。
2.世界一多種類の「魚介類の発酵食品」がある
魚介類の発酵食品は、ヌオックマム(魚醤)、マムトム(エビの発酵塩辛)、マムバーキア(小カニの漬け)など様々あり、ベトナム人の食卓に欠かせない食材の1つとなっている。
3.世界一多種類の「花料理」がある
料理に使われる花は43種類、それらを使った料理は272種類に上り、その数は増え続けている。広く知られている代表的な花料理には、花鍋やハスご飯、バナナの花の和え物、カボチャの花のニンニク炒めなどがある。
4.世界一多種類の「巻物料理」がある
その種類は103にも上り、野菜をふんだんに使いタレをつけていただくものが多い。よく知られている巻物料理には、生春巻きや揚げ春巻きなどがある。
5.世界一多種類の「米粉料理」がある
ベトナムの米粉料理はバインドゥック(ベトナム風雑煮)、バインゾー/バインヨー(ひき肉やエビの餡が入った蒸し餅)、バインイットラーガイ(北部紅河デルタ地方ハイズオン省名物のガイの葉を練り込んだ真っ黒い緑豆餡の餅)など、全国各地に米粉料理が143種類もある。
<VIETJO>
◆ 解説 ◆
どこのニュースの記事を開いても、「コロナ」関連の暗い記事ばかりが続いて
いましたが、久しぶりに楽しいニュースでしたので、思わず嬉しくなり、この記事をご紹介致します。
この記事の中にある「汁麺」、「魚介類の発酵食品」、「花料理」、 「巻物料理」、「米粉料理」などは、私の長いベトナム生活の間で味わった ものが多いのですが、まだまだ食べていないものもいろいろ有ります。
ここで紹介されている料理を私が初めて食べた時、「わーっ、これは美味い!」 と感心したベトナム料理の中に、「バナナの花の和え物」や「カボチャの花のニンニク炒め」などが有ります。これらは日本では味わうことが出来ない料理 でした。そういう「料理方法」が無いからでしょう。
もちろん、日本にも日本でしか味わえない、美味しい料理がたくさん有ります。 現在、ベトナムにも日本料理屋はたくさん出来ていますが、日本でしか味わえない「日本料理」が、たくさんあるのも事実です。
それと同じように、ベトナムでしか味わえない「ベトナム料理」もたくさん有り
ます。みなさんもベトナムに来た時には、ベトナムでしか味わえない「ベトナム
料理」に、是非いろいろ挑戦してみてください。