アオザイ通信
【2004年11月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

<Hieu(ヒユ)さんの夢・日本語学校開講!>

今から4年前に、たまたまある喫茶店で会ったベトナム人の男性がいます。彼はその時にまだ日本語を習いたての時期で、話す日本語もたどたどしく、ヒラガナとカタカナを習って間もない時期でした。

それから4年の間彼とは会うこともなく歳月が過ぎていましたが、今年の1月にたまたま彼と路上でばったり再会して、そのあまりの懐かしさのあまり、「今からヤギ鍋でも食いに行きましょう」と言うことになって、2人でヤギ鍋屋に直行し、大いにその再会を喜んだことでした。

そこではヤギ鍋を突つきながら日本語で話していましたが、彼の日本語の素晴らしい上達ぶりに驚き、私が「今何をやっているの?」と聞くと、「今年中に日本語学校を奥さんと2人で開講する予定で、今その準備を進めています」と言う返事でした。

今ホーチミン市内に主な日本語学校としては、「さくら日本語学校」や「ドンユー日本語学校」などの10校くらいのメジャーな学校を筆頭にして、個人授業でやっているような小さい日本語学校まで含めれば、恐らく50校は下らないのではと思います。それくらいいろんな学校が、日本語を学びたい学生を対象にした学校を開いています。今や英語・フランス語に次いで、人気のある外国語が日本語のようです。

今回Hieuさんも新たにその中に参入して、奥さんと2人で日本語学校を開講したいという夢を実現させたかったようです。ちなみに奥さんは静岡県に3年間語学留学をしていて、その日本語能力は私が最初に家に電話した時にたまたま奥さんが出て、「奥さんは日本人ですか?」と聞いたくらい日本語は流暢です。しかしそういう2人のコンビで努力をしていても、この日本語学校を開講するまでには、いろんな苦労があったことを聞きました。

まずここの校長となるHieuさんの人物調査、そしてこの学校で働く先生たちの詳細な情報のリスト提出(出身地や家族構成や本人の経歴)などについて書類を提出して、開講の許可が出るまでに約9ヶ月もかかったと言います。そして極め付けは、ベトナムではいつもの当たり前の習慣の如く、役所の許可をもらうためのお役人さんへの心付けです。

そしてお役所からようやく開講の許可が出たのが、10月の末のことでした。それからあわてて新聞に生徒募集の広告を入れ、大学などにチラシを配ったりしました。でもベトナムの新学期は9月から始まり、授業料は3ヶ月単位で払いますので、すでにこの時にはもう日本語を習いたいと考えている生徒たちは、別の日本語学校に通っている時期です。それでも何とかようやく、この11月に正式に授業を開講した時には、新しく20名の生徒が受講することになりました。

Hieuさんが言うには、「この20名がこの学校の最初の生徒たちです。この生徒たちを大切にして、これから生徒を増やして行きます」と、自信に満ちた決意を述べていました。

Hieuさんとその奥さんが新しく開講した日本語学校の名前は、将来の成長への期待を込めて「わかば日本語学校」と言います。その名前の通り、これからすくすくと成長して欲しいなあ〜と私もこころから期待しています。





「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。

■ ■ 今月のニュース 「 日本の平和の船、ベトナムに到着 」 ■ ■

2004年10月末、900人のお客を乗せた大きい客船「平和の船」がベトナムに到着しました。その乗客のほとんどが若い青年たちで、日本を出港した後14ヶ国を経てベトナムに着きました。彼等はいろんな国で、現地の若者との親善・友好を深めることを希望してこの船に乗り込んで来たのです。

ホーチミン市の隣の省・ブンタウでは200人の青年が、ある施設を訪問しました。そこにいた80人の孤児を前にして、青年たちは言葉にならないくらい深い感動を受けました。ここにいる子供たちの80%は、枯葉剤の影響で目や耳や知育に障害のある子供たちだそうです。

参加者の一人、Ayumiさんは「みんなが恵まれない境遇の子供たちばかりだと聞いていましたが、年長の子供が年下の子供たちをまるで、自分の弟や妹のように親身になって世話をしているのを見て、強い感動を受けました」と話していました。

Iwasakiくんは、子供たちに白紙を配って、子供たちに好きな絵を書いてもらい、それでいろんな楽しいゲームを見せてくれました。最後にベトナム訪問の記念にもらった帽子を被って、青年たちと子供たち全員が記念撮影をしました。子供たちもまた、これらの青年たちを熱烈に歓迎してくれました。

ホーチミン市においては40人の日本の青年たちが、日本語を勉強しているベトナム人の学生たちと交流会を開きました。その学生たちは「さくら日本語学校」の生徒たちです。

日本とベトナム双方の学生たちが、それぞれの国の文化や風俗や芸術や食べ物などを紹介しました。またその後に、ベトナムの生徒たちがこの若者たちを積極的に市内見学に連れて行ってくれて、ベンタイン市場などに案内してくれました。

Mayukoさんはアオザイを手に取って、ため息をつきながら「ほんとうにキレイですね〜。ベトナムにいる間に一度はこれを着てパーティに出たいな〜と思います」と言っていました。また26才の男性は折り紙で「ツル」を折ってくれて、ベトナム人の若者たちにその「ツル」の作り方を教えていました。そのツルを折る時に、「ツルは平和の象徴なんですよー」と説明していました。

Iwasakiさんという女性は、「私は今回初めてベトナムを訪問しましたが、ベトナムのみなさんたちは大変情愛が深いなあと感じました」と話しました。

またAyumiさんは、「この旅は3ヶ月の期間に渡るので、私は日本での仕事を一旦辞めてこれに参加しましたが、今そのことを全然後悔してはいません。この船に乗ることが出来たおかげで、いろんな国の文化や、ベトナム戦争のツメ跡や、またその後遺症で苦しんでいる人たちの存在や、ベトナムの美味しい食べ物を知ることが出来ましたし、何よりも嬉しかったのはベトナムで友人をたくさん作ることが出来たことでした。いつかまた近い将来に、必ずベトナムに来たいと思います」と、熱意を込めて話してくれました。

いろいろな国を親善・友好のために訪問して来たこの平和の船の旅もそろそろ終りに近づき、その旅の後半に差しかかった頃に多くの日本の若者たちがベトナムを訪問してくれました。彼等はもうすぐその永い旅を終えて、日本に帰り着く予定です。

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(解説)
毎年・毎年このような日本の青年たちを乗せた船が世界中を訪問していますが、上の内容はこの10月にこの船がベトナムを訪問してくれた時の記事です。

いろいろな施設や学校を訪れ、交流会や慰問をして、積極的に草の根の交流してくれている様子が伺えます。ベトナムの人たちも、来年もまた再会出来ることを楽しみにしていることでしょう。


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