春さんのひとりごと
< 第10回・日本語スピーチコンテストの実施 >
1994年、ベトナムに滞在していたある1人の日本人がベトナムでの生活に別れを告げる時に、「日本語を勉強している人たちのために役立てて欲しい」と、いくばくかのお金を残して帰国しました。
それから当時まだ数少なかった大学の日本語学科、日本語学校の日本人教師の有志が集まり、その資金の用途を考えた結果、「日本語学習者のための弁論大会」を開くことに決めました。
そのあとにその実行委員会となる日本語教師会を組織し、弁論大会の開催を計画、準備しました。
そして翌年に12名の発表者が決まり、ついに最初の第一回ホーチミン市日本語スピーチコンテストが開催されました。その後は国際交流基金や日本商工会も協力して、今年で第10回目を迎えました。
今回は16名のベトナム人による発表が、朝8時から始まりました。
私もこのコンテストには大変興味がありましたので朝から出掛けて来ました。会場には圧倒的にベトナム人の姿が多く、昨年は700名の入場者がいたそうですが、今年も同じくらいは来ていたようです。
最初にまず、日本語学校のベトナム人の生徒による太鼓の演奏があり、続けてこれまた法被を着たベトナム人によるヨサコイ踊りが披露されました。
そしていよいよスピーチコンテストです。今回の発表者の16名のうち、そのほとんどが大学生です。まだ日本語を勉強して1年未満の人もいれば3〜4年の人もいました。
手元に原稿は無しで、内容をすべて暗記して、一人が持ち時間5分以内で発表するやりかたでしたが、全員事前に十分に練習した成果でしょうか、誰一人として途中で内容を忘れたり、話が止まったりすることもありませんでした。
発表内容も政治や文化についての深い内容も多く、みんなが良くいろんなことを勉強している様子が想像出来ました。その16人の発表中、私がじっと目を瞑って聞いていると、「今日本人が話しているのではないかしら?」と思うくらい、本当に日本人と聞き間違えるほどに日本語の上手い人が、2人ほどいました。
そして16人すべての発表が終るとまた、ベトナム人による「赤とんぼ」や「さくら」の歌や踊りが7組みほど披露されてその後に、コンテストの結果発表です。
優勝者はやはり、私も上手いなーと思ったうちの一人でした。名前をPham Thi Cam Van(ファム テイー カム バン)さんと言う大学生の女性です。彼女はまだ日本語を勉強して3年に満たないくらいだといいますから、ここに到るまでさぞ日々努力していたのでしょう。その苦労が偲ばれます。
ベトナムにおける日本語学習者の数は、以前は英語>フランス語>日本語くらいの位置付けでしたが、最近は英語>日本語>フランス語になっているでしょうと、ある日本語学校の校長先生が私に話してくれましたが、毎年開催されるこういうスピーチコンテストも、今後の日本語学習者の大いなる励みになっていくことでしょう。
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