アオザイ通信
【2006年5月号】

ベトナムの現地駐在員による最新情報をお届けします。

春さんのひとりごと

<日本に帰る・・・・「Cam On(感恩)!ベトナム」説明会の開催>
四月初めに一年ぶりに日本に帰りました。女房と子供を連れての帰国でした。明石では、お城の中での友人たちとの花見に参加させて頂きました。女房や子供も桜自体はすでに見ていましたが、満開の桜の下で宴会したりするのは初めての体験なので、大変喜んでいました。

それにしてもやはり「日本の春」は桜を初めとして、山吹やツツジや藤や菖蒲や牡丹やチューリップなどのいろんな奇麗な花が一斉に咲きそろってくれて、あらためて「いい季節だなー」と思いますね。

そして今回帰国した時に、たまたま藤原正彦さんの『国家の品格』という本を読みました。その中に「日本人は何故一年に一回しか、しかもたった二・三日しか咲かずに、はかなく散る桜をこよなく愛するのか?」というくだりがありましたが、むしろ「一年に一回しか咲かないし、はかなく散る」からこそ古来から日本人は愛着を持って来たんだろうと思います。

このベトナムはさすが南国だけあって、ここに咲く花の種類の多さはそれこそ日本の比ではありません。しかも驚くのは、同じ花で一年に何回も咲く花が数多くあるということです。

例えばブーゲンビリアなどは一旦花が無くなっても、二週間くらい経つとまた同じ木から花が咲きます。日本のツツジも最近見掛けることがありますが、日本では春に一回しか咲かないはずのツツジが、このベトナムでは一年中切れ目なく花が咲いています。日本のように四季それぞれに一年に一回花が咲いて終りではなく、このように年に何回も咲く花もあるのが当たり前の常夏の国にいると、これはこれで慣れるとまた面白いものです。

さて日本滞在も終り、ベトナムに帰る前に神戸で「Cam On(感恩)! ベトナム」と題して、ベトナムでホームステイをする説明会を開きました。ちなみにベトナム語で「Cam On(感恩)」とは「ありがとう」という意味です。

これは今年から企画したプログラムで、ベトナム人の庶民の家に宿泊して草の根の交流を行い、同時にそのベトナム滞在時に希望に応じてベトナム料理を習ったり、陶芸教室に参加したり、ベトナム語を覚えたり、雑貨屋さんの手伝いもしたりする・・・など、単なる観光旅行とは一味違う「日本とベトナムとの文化交流と体験学習」を目指したものです。

異国のホームステイ先で一番みなさんが心配し、悩むのは「言葉の壁」の問題でしょう。それをどのように解消するかを私なりに考えて、今回一つの解決策を考えました。それは「日本語の通じる家庭にホームステイする」ということです。そのために、今現在日本語学校に通っている生徒たちの中からホームステイ先を選んで、その中からさらにまた対象者を絞り込みました。

その絞り込んだ生徒たちはと言えば、全員がまだ日本語を習って一年弱くらいの期間ですが、日本人が自分の家に泊まってくれるとなると、さらにまたその日本語習得の努力にも拍車を掛けてくれることでしょう。

さらにホームステイで大事なのは、外国人を迎え入れてくれる家族全員の「もてなしのこころ」の高さだと思います。そういう意味ではどの家も今回が初めて外国人を迎え入れる家がほとんどなのですが、「喜んで受け入れるよ!」とほとんどの家庭が言って下さいました。
その時に私とは初対面にもかかわらず、二つ返事で引き受けてくれたベトナムの家族のみなさん方には、ただただ「Cam On!」です。

さて日本での説明会当日には、十数名の参加者に来て頂きました。
中にはかなり遠くの県から参加して頂いた方もいました。私も久しぶりの説明会でもあり、直前まで大変緊張致しました。話の内容は、主に「ベトナムの現地情報」を中心に話しましたが、終った後の感想文を拝見しますとみなさんには喜んで頂いたようで安心しました。

そして神戸での説明会の翌日、関西国際空港に着くと予定より3時間遅れの便になっていましたが、無事ベトナムに到着しました。ベトナムに着いた時は33度の暑さでした。そしてタンソニヤット空港に着くといつも必ず聞こえて来る、タクシーの運転手の客引きの喧騒さ・しつこさに「ああ〜、やっとベトナムに帰って来たなー」と実感したことでした。そしてその翌日には朝から雷まじりの大雨が降り、恒例の雨期がもうすでに始っていました。

今回の日本での「ホームステイ説明会」におきましては、遠くからそしてまた平日の忙しい中にもかかわらず来て頂いた方々に、こころから「Cam On!」です。そしてまたこちらベトナムでお会い致しましょう。




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