春さんのひとりごと
ようやく我が子も四ヶ月目を迎えましたが、いや〜子育てというのは本当に大変なものですね。寝てはすぐ起き、起きてはすぐ寝、起きて目を開くと「ワァー〜」と叫び、「ニコツ」と笑い、とにかくじっとしてはいません。夜中の何時だろうが、これを繰り返すので最近は寝不足になって来ました。
しかしこの時期の子供の成長の早さには驚くばかりです。一ヶ月目にまだ薄ボンヤリしていた目つきが、2ヶ月目になるとずいぶん辺りが明瞭に見え始めて来たようで、近くのものをしっかりと見つめるようになり、3ヶ月目に入った今は人の顔を見ると「キャー〜」と叫んで、笑い出します。
今はこのような幼な子も、あっという間に小学生になり、高校生になり、大学生になっていくのもさぞ早いことでしょう。その時にこの「ベトナムという国のかたち」がどのようなものになっているか・・・大いに楽しみでもあり、また心配でもあります。
つい最近カンザーに出掛けたら、またまたその変わりようの激しいこと激しいこと。大きい・最新式のエビ池がドンドン造られ、今まで道路の両側にあってベトナム南部の風景を象徴していたニツパヤシの森がそれと比例して、ドンドンと潰されていっているのです。
ちなみにエビ養殖池は、大きく分けて3つの型に分かれます。「粗放型養殖」と「準集約型養殖」と「集約型養殖」です。
自然の潮汐の干満を利用した池の中でエビを育てる、単純な型が「粗放型養殖」。これは生産性は低いので、さらにこうした池を利用して飼料・肥料を投入して、ポンプで水を管理するようにしたのが「準集約型養殖」。
さらに水田のような区画で、高密度に抗生物質・飼料・栄養剤などさまざまな化学薬品をぶち込み、水中酸素を補うために風車のような曝気装置を備え付け、短期間に大量にエビを養殖するシステムが「集約型養殖」です。これは相当な設備投資が必要です。今カンザーで大規模に造られている新しいエビ池は、この3段階目の「集約型養殖」です。
そこで先ほどの話に戻りますが、カンザー人民委員会はこのカンザーを将来どういうふうに創ろうとしているのかということ。これからもただ経済的利益を追求するために、このようにドンドンとエビ池を造っていくのかな?という疑問。
何故ならこのエビ池の造り方は永続性のあるものではなく、数年で土壌の性質が変わり、使えなくなったエビ池は放棄されてしまい、その跡には荒涼とした風景が残るだけとなるというのが今までのパターンでしたから。そのたびにまた新しいエビ池を求めて、ニッ パヤシが潰され、マングローブ林が伐採されて来たという歴史があります。
どこかで歯止めが掛るか、あるいは掛らずにそのまま突っ走り、荒涼とした世界が訪れるまでその活動を今後も止めないか、それはベトナム人自身が考えることです。
しかし戦後の日本が経済的利益を追求する余り、気が付くと海や川はコンクリートで塗り固められ、今荒涼とした風景が現われているように、それがまたベトナムにも重なって見えて来るのです。
だからこそ、今カンザーのマングローブの緑の中にあるセミナー・ハウスの存在は、回りの風景が変わっていけばいくほど、「ここだけは絶対変えてはいけないな!」と強く・強く思うこのごろです。
またこの夏もテイエラの生徒たちや、それ以外でも好奇心溢れる、たくましい、元気な子が一人でも、二人でも多くここカンザーを訪れて欲しいものです。
|