春さんのひとりごと
< Quoc(クオック)さんの笑顔 >
今年4月に訪れたアヒル飼育の農家を、またフォトジャーナリストのMさんと一緒に訪問して来ました。しかしそこを訪問するに当たって、事前には何の約束もしていなかったので、今がどういう状態であるのかこの時には全く分りません。
また元のように仕事を始めていれば良いが、もしダメだったら・・・。
最初私達も行く前に迷いましたが、近くに来たついでだからと、思い切って訪ねることにしました。一家の人たちの元気な姿と再会出来ることを願いながら。
今から訪ねるそこの主人は、Quocさんという30代半ばの人ですが、
昨年ベトナムでも発生したトリインフルエンザ騒ぎで、飼育していた
一万羽のアヒルを全て失い、前途を悲観して農薬を飲んで自殺を図り、あやうく一命を取り止めた人です。
家の近くでバスを停め、大きい道路からは小型バスも入れないので、バイクタクシーを雇って2人でまたそこを訪ねました。どういう表情で再会出来るだろうか?期待と不安が入り交じりながら、すぐ彼の家の近くに到着。
すると彼の家のすぐ近くの小屋の中で、アヒルの卵の選別をしている若い2人がいました。それがQuocさん夫婦でした。その横にはまたおじいさん・おばあさんも仕事をしていました。以前来た時には本人は非常に落ち込んでいて、このおじいさん・おばあさんが話を聞かせてくれました。
4人とも私たち二人を見るなり、ニコーツとした笑顔をして大変喜んでくれました。それを見て、来る前に心配していたことが杞憂に終って、私たち2人も大いに安心したことでした。
すぐ家の方に案内してくれて、お茶を飲みながらいろいろ聞きました。今のアヒルの飼育は3ヶ月前から再開したこと。以前は一万羽飼っていたが、今は1500羽のアヒルがいること。それが毎日400〜500個のタマゴを産んでくれるので、それを毎日市場に出していること。今は以前の十分の一以下の数でしかないが、これからまた頑張って以前と同じくらいまではアヒルを飼いたいという目標を持っていること。
などなどを嬉しそうに、元気良く話している姿を見て、私もMさんも大いに安心しました。そしてまた外国人である我々にも、本当に率直に苦しかった時の状況から、今に到るまでを話してくれるその気さくさにも感心したことでした。
今年またトリインフルエンザが再発するかどうかは分りませんが、
ここにはその試練を乗り越えた一軒の農家の人が間違い無くいました。最後に別れる時に「また来年も来ますからね。その時にはもっと多くのアヒルを見せて下さいね」と言うと、「分かった。分かった。」と返
事してくれて、力強く握手して別れて来ました。
※ 春さんは1997年春よりホーチミンに駐在しています。今ではすっかり現地の人となって、見分けもつかなくなっています。春さんに質問や相談があればメールをお送りください。
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