春さんのひとりごと
< ベトナムを自転車で縦断した日本人 >
たまたまある日、ベトナムの北から南まで約1700Kmを2年前に自転車で縦断したという日本人の青年・Wさんに逢いました。
東京都出身で32歳、まだ独身だと言っていました。
見た感じは普通のどこにでもいる日本人で、話す時の言いかたにも、そんなもの凄いことをやり遂げたんだという気負いもなく、日本国内を走って来たような淡々とした話し方でしたので、余計に感動しました。
ベトナム縦断に使用した彼の自転車は、日本から持ち込んだ折畳式で、それを飛行機にも、バスにも持ち込んで乗り継いで走ったといいます。その彼が乗っていた自転車を見ると非常に頑丈な感じで、(こんな大きいものをよく折り畳めるものだな〜)と不思議に思ったほどでした。
彼が訪れた時期は4月で、ベトナムでは雨期に入る直前の季節ですが、大した雨には逢わなかったといいます。舗装されていないデコボコの山道も、坂道もすべて一台の自転車で南北を約2週間ほどかけて走破したそうです。
ベトナム人はともかく、外国人でやはり田舎道を自転車で走っている人間は珍しいらしく、到るところの田舎でベトナムの人たちから大変親切にされたとニコニコと話してくれました。自分の家に招待してくれて、そこの一家がみんなで歓待してくれたこともありましたと感激していました。
ある一人のベトナム人から「何でまた自転車で旅するの?バイクで行くほうがはるかに楽だし、早いのに・・・?」と質問された時に彼は、「自分がそちらのほうが好きだから」と答えたそうです。
確かに自転車の旅は肉体的にはしんどくても、バスでの旅と違い、自転車の目線の高さでベトナムの風景や人たちを見ることが出来るし、好きな場所で休憩出来て自分のペースで予定を組めるということにあるんでしょう。ただしリスクは伴うし、時間に余裕のある人でないととても実現出来ない贅沢な旅だとも言えますが。
私もベトナムの田舎を通る時に、30年前の日本の田舎を想起させるような風景に出会う時に、(何といういい光景だろう・・・)としばらくホレボレと見とれるようなことがありますが、ベトナム人のバスの運転手はそういう外国人の郷愁などにはお構いなしで、いつももの凄いスピードで車を飛ばして行きます。
それだけに彼が自転車で旅をすることにこだわるのも何となく分るような気がします。彼はこれからもアジアのいろんな国をその自転車で走破して行くと、張り切ってまた旅出って行きました。
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