春さんのひとりごと
< Tramさん、日本留学を終える >
昨年日本に留学していたTramさんが、無事日本での1年間の留学を終えて、7月中旬にベトナムに帰って来ました。そしてベトナムに帰って来てすぐに、お母さんと一緒に2人で、私のところに挨拶に来てくれました。
実はTramさんは日本へ行って最初の2ヶ月目は、かなり重いホームシックにかかってノイローゼ気味になり、毎日ベトナムのお母さんに電話を掛けていました。ベトナムでは一人っ子で、今まで何不自由もなく、甘やかされて育って来たせいか、好き放題にしてきたベトナムでの家庭の過ごし方とは違い、ホームステイ先の日本ではかなり不自由な生活環境に直面するのは当然ですが、やはり日本という初めての異国での生活になじむまでには、ずいぶん苦労したようです。
しかし3ヶ月を過ぎた頃から、ようやくホームシックの症状も軽くなり、日本人の友人もたくさん出来て、日本の空気に次第になじんでいきました。
半年もすると、日本での生活や食事にもかなり慣れたようで、ベトナムにいた時には全く日本料理も食べたことがなかったそうですが、「日本の食べ物は大変美味しくて、日本にいる間に6キロも太りました。今では刺し身や天ぷらも、大変美味しいと思います。中でも寿司が大好きになりました。でも納豆だけはとうとうダメでした」と嬉しそうに話してくれました。
「日本での一番の思い出は何?」と質問すると、「修学旅行で広島に行ったことです」という答えでした。修学旅行というのはベトナムにはないものですから、みんなで一緒に観光地を回り、同じ旅館に泊まり、食事もお風呂もみんなで共同体験することが、大変印象に残ったようです。
「日本で一番驚いたことは何?」と尋ねると、「先生と生徒の関係が大変フレンドリーで、非常に雰囲気がいいことでした。ベトナムは、先生と生徒との上下関係が厳格で、先生が座って質問する時などは、生徒はいつも起立の姿勢を取っていますので、私は個人的には日本のほうがいいな〜と思いました」という返事でした。
ホームステイ先での最後の夜には、彼女の恩師や友人を招いてお別れパーテイーを開いてくれたそうです。「日本では、本当にいろんな人たちにお世話になりました。日本で一年間過ごした体験は、一生忘れることは出来ません」と、しみじみと懐かしそうに話してくれました。
そして私と別れるころ、自分のカバンの中から大事そうに、嬉しそうに、ビニールの袋の中から一枚の紙を出して、私に「先生、これを見て下さい!」と言って見せてくれました。そこには、◇◇日本語能力検定試験3級合格◇◇の賞状がありました。
試験日は2004年12月となっていましたので、彼女が日本語の勉強を始めてまだ1年も経過していない頃です。「本当に良く頑張ったね!」と、私も誉めてあげました。後日、日本語学校のベトナム人の先生に聞いたら、「ベトナム人で日本語検定3級の試験に合格するのは、約1年半から2年かかりますよ」ということでしたから、Tramさんは早かったほうでしょう。
「今後はどうするの?」と聞くと、日本に留学している間みんなに出遅れた一年間は、またベトナムの高校に行き直して元の学年の勉強に戻ってから来年高校を卒業し、来年の9月からはオーストラリアの大学に4年間留学する計画だそうです。
Tramさんの未来への夢は、まだまだこれからも続きます。
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