「BAO(バオ)」というのはベトナム語で「新聞」という意味です。
「BAO読んだ?」とみんなが学校で話してくれるのが、ベトナムにいる私が一番嬉しいことです。
■ 今月のニュース <水が出なくて眠れない> ■
今ホーチミン市のいたるところで、水道の水が足りない状況が続いていて、住民は気が休まることがない。この状態は浄水場から遠い市外地だけではなく、ホーチミン市内の一部にも及んでいる。
それで水の足りない地区の住民は、夜通し起きて手桶やバケツに水を汲むなどして、毎日眠れない夜を過ごしている。
「この数日間は強烈な暑い日が続いているけれど、シャワーや洗濯をする水が足りないので辛くて、苦しいわ!」とBinh Thanh(ビン タン)区のBinh Loi(ビン ロイ)通りに住むある主婦は、我々にこう嘆息をもらした。実際にこの区域では、今もそのような状況が続いている。
◎多くの区域の住民が、寝ないで水を確保◎
Binh Loi区のこのように水が足りない状況は、実は今回が初めてではない。昨年の乾季の時にも、同じようなことが起こったので、水を販売している会社が、トラックに乗せたタンクに水を積んで売りに来たのだが、今年もまた何も改善されていない。
この地区の住民Tha(ター)さんは、「数日前に私は直接水道局に足を運んで掛け合って来たが、状況は何も変わらない。彼らはまだ全く何もしない。」と言う。
「この3月23日には特に水の出が悪かったので、私は夜中もずっと寝ないで、蛇口を全開にしてもポタポタとしか出ない水を桶に汲み移す作業をしないといけなかった。」とも話してくれた。
「私の家は5人家族だけれども、家族全員がシャワーを浴びたり、洗濯をしたり、炊事などに使う水は一日100リットル汲み置いておいても十分でないことがあるんです。」とThaさんは溜息を吐いた。
さらにまたその近くに住むHoan(ホアン)さんも、「今のように、水が水道管から全然流れてこない状況のままだとラチがあかないので、結局この辺りに住む人たちは、一立方平方メートルにつき5万ドン(約280円)の水を買っているような状態です。」と話した。
◎一立方平方メートルの水が、何と16万ドン!◎
この水の値段だが、特に水不足が厳しい新興開発区の7区などでは、以前は一立方平方メートルが10万ドン(約560円)だったのが、今は何と16万ドン(約890円)にまで値上がりしているという。
また別の地区の多くの家も見てみたが、各々の家には水を入れるタンクが2つほど置いてあって。それに毎日水を汲み入れているような状態だった。しかしBinh Loi区の人たちは、苦しい状況ながらも、まだ何とかして一応は水を確保できているからいいほうだろう。
4区のBen Van Don(ベン バン ドン)の住民の話では、一日の中で水を全員が使うような朝や夕方などの「高い時間」ころになると、段々と水の勢いが弱くなっていき、そして突然水が全然出なくなることもあるので、汲み置きも間に合わないと手をこまねいている状態である。
4区の住民であるThuy(トゥイ)さんは、「この数日は連続して、夜の12時から朝5時までずっと起きていて、バケツやタンクに水を汲んで移す作業をしていましたよ。これは私だけではなく、この地区の人たちはみんな同じようなことをしています。」
「我が家には幼い子たちがいるので、シャワーや洗濯などで使う水の量も多いのです。それでも足りない時には、4区の別の通りの知り合いに水を分けて貰いに行きます。」と嘆いていたのだった。そして今もまだ、このような状況は改善されていないのである。
<解説>
先日JICAから派遣されて来た青年と話していました。彼はもう少しでベトナム滞在が一年になるそうですが、彼は環境問題というテーマを持ってベトナムに来ました。
彼に「ベトナム滞在もうすぐ一年の感想はどうですか。」と私が聞きますと、「食べ物とかは美味しくて、全然問題ないんですが、河の汚染がもの凄いですね。あんな状態だと、市内に住む人たちの飲料水が不足してくるんじゃないでしょうか。大変心配になります。」という感想を述べてくれました。
私はそれに対して、「今の時点で、もう水不足の状態が出て来ていますよ。」と、たまたま少し前に読んだ、上の記事の内容を簡単に説明しました。
ホーチミン市の人たちの生活用水の主な水源は、サイゴン川やドンナイ川と地下水の三つのようですが、その二つの主要な川に工場廃水や、住民の生活排水の垂れ流しが続いている状態です。少し前には、台湾系の化学調味料会社の廃液の垂れ流しが摘発されました。
実は私もいまは4区にいますが、この地区は以前から水の圧力は弱い状態でした。ただ、今のところは水が突然出なくなるという事態は起こってはいません。しかし今後どうなるかは分かりません。
さらにまた同じ水に関した問題で、最近次のような記事が出ました。
●ボトル入り飲料水業者、半数が活動停止処分●
ホーチミン市保健局査察部は24日、2月16日からこれまでに市内のボトル入り飲料水生産業者57社を検査した結果、ほぼ半数の27社に食品安全衛生に関する規定違反があったため活動停止処分にしたことを明らかにした。微生物汚染やペーハー(pH、水素イオン指数)基準を満たしていない飲料水が発見されており、これまでに約5万リットルが封印処分されている。(引用=ベトジョーNews)
これですと、市販されているペットボトル飲料水の2本に1本は飲むのに適していないということになります。
実は私は、もう3年ほど前から外でペットボトルの水を買うことはしていません。その理由は水の安全のためというより、路上や店で買い求めても、冷えたペットボトルの水が時々ない場合があることと、水そのものが売っていない場合があって困ったことがあるからです。まあしかし、一番の理由は毎日店で買うのが面倒くさいし、ただの水よりもお茶のほうがまだ美味しいという、ただそれだけのことです。
毎日が暑いこの国では、一時間もするとすぐノドが渇きます。それで一年を通して、水は必携品です。しかしベトナムでは外出時に水筒を持っている人たちはまれです。至る所の路上に、カフェー屋さんや、ジュース屋さんが営業しているからでしょうか。路上に、“Giai Khat(解渇)”と看板が掲げてあるのがそういう店です。
しかし私自身は、ノドの渇きを癒すためだけには、あまりそういう所には足は運びません。自分でいつも冷たいお茶を持ち歩いています。
それで私が3年前からやっている方法ですが、外出する前日に家でお茶を沸かしておいて、それを湯冷まししてから、ペットボトル数本に分けて冷凍室に入れておきます。そして翌日それを取り出しますと、ペットボトルの中のお茶はカチン・カチンの氷の状態になっています。
外に出かける時には、それをペットボトル入れの容器に入れて、毎日バイクにぶら下げて出かけます。そして冷凍室から取り出した時にカチン・カチンだった氷は、暑い外気に晒されて徐々に溶けていき、しばらくすると冷たいお茶(チャー ダー)になります。朝それを持って出かけたら、昼過ぎまではまだ冷たい状態が続いています。
それでこの記事を読んで、半数の会社が活動停止処分になっても、また別の会社が同じようなことをしそうな予感がしますので、このベトナムいる限り私は、どこへ行くにも今後もずっと、「自家製ペットボトル入りチャー ダー」を持ち歩いて行こうと思います。
日本では自動販売機が至る所にありますので、そういうものを持ち歩く必要はないのですが・・・。
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